上手にセルフケアメディケーション

カテゴリー

知って得する「食と薬の話」
ケンコージョイ情報管理室からお届けする連載エッセイです
セルフメディケーションとOTC薬
役立つOTC薬の情報をドラッグストア現場からお届けします
cate_btn03.gif
良さそうな情報に惑わされず、自分自身の健康に必要なものかどうかを適切に判断するための情報をお届けします

« 2005年10月 | TOP | 2005年12月 »

第7回「効きそうな食品」のかしこい利用(3)多いことは良いことか

2005年11月01日

秋たけなわ…この頃になると必ずと言っていいほどキノコ中毒のニュースが聞かれます。昨年はスギヒラタケで死者が出て大騒ぎになりました。その地方では常食キノコだそうですから、毒キノコを間違えて食べたわけではありません。未だ原因が解明されていないので、この場合は何ともいえませんが、私たちが季節の味や香りとして楽しんでいるものの中には、ワラビやフキノトウ、キノコなど量を過ごせば中毒症状をおこすものや発がん性があるものなどが沢山あります。幸いにも旬は短く、経験的な毒消しノウハウのおかげで、大事には至らずに季節の恵みをいただいてきたのだと思います。食材を食事として摂っている限りでは大量摂取はおそらくないでしょう。

しかし、最近の「効きそうな食品」では事情が異なります。以前は、薬と紛らわしいとして認められなかったカプセルや錠剤などの形態が食品にも認められるようになって、調査によれば現在出回っている「効きそうな食品」の60%以上がカプセルや錠剤だそうです。このことがなぜ問題なのかを見てみましょう。

よく見られるのは、「××抽出液の有用成分をそのまま凝縮し、・・・ソフトカプセルに封じ込めた」「貴重な○○、△△個分を濃縮エキスにして錠剤にした」など、高濃度、多量が良いと印象づけるものです。そして天然素材であることを強調しています。前述のように、天然の動植物には人間にとっては毒となる成分も含まれており、それも一緒に濃縮されることになります。医薬品の場合は(漢方薬は例外ですが)、有効成分のみを抽出精製し、動物実験、ヒトでの試験など、様々な段階を経て有効性や安全性がチェックされますが、食品ではそのようなことはほとんどありません。

濃縮型製品の問題点は主として次のふたつ。

  1.有効成分も有害成分も高濃度になっている可能性 → 有効成分の過剰摂取、有害作用の発現
  2.連続して毎日摂取することが容易 → 過剰摂取による健康障害の可能性

食材として食事の中で利用する場合は、季節性、一度に食べられる量、好みなどから、大量・連続摂取は避けられますし、万が一不具合が起こったとしても、因果関係がわかりやすいと言えます。

【多量、長期使用による健康障害が知られている例】

  ●併用した薬の作用が強まり脳内出血を起こした・・・抗血液凝固薬(ワルファリン)とイチョウ葉エキス
  ●肝臓障害が悪化した・・・ウコン
  ●呼吸器障害(閉塞性気管支炎)を起こした・・・アマメシバ

濃縮加工型の食品は、通常では食べられない量、味、臭いのもの、食習慣のない海外の産物などを摂取可能にしますので、さらに注意が必要です。