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第11回 「健康食品」の食べ方 (1) 大豆イソフラボンの功罪

2006年03月01日

新聞紙上などで「大豆イソフラボン」の過剰摂取への注意が報じられています。身体に良い食品でも食べ方には注意がいることを事例を追ってみていきましょう。

〈大豆イソフラボン〉

 厚生労働省の依頼を受けた「食品安全委員会」では、食品成分「大豆イソフラボン」の過剰摂取に注意を促す報告書案を出しました(1/31)。不正確な報道もあって生活者の間で混乱もあるようです。ここで情報を整理してみたいと思います。

◆ 大豆イソフラボンとは・・・

大豆の胚芽部に特に多く含まれる成分。大豆はもちろん、豆腐、納豆、みそなど大豆を原料とする加工品のほとんどに含まれており、日本人は通常の食事から一日に16〜22mg(大豆イソフラボンアグリコンとして:H14国民栄養調査)程度とっています。大豆イソフラボンは身体の中では大豆イソフラボンアグリコンとしてはたらくので、アグリコンと表示されることもあります。摂取量○○mgという数値をみるときはどちらなのか注意が必要です。女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持つとされていますが、反対に抗エストロゲン様作用もあることが分かってきました。

◆ 大豆イソフラボンの有効性と危険性

乳がんを抑制する(ラットの実験)、乳がん発症率の減少(日本人女性での疫学調査)、骨粗鬆症予防に効果(トクホがある)、更年期障害の症状改善(閉経後の女性)などの有効性情報がある反面、 ホルモンのバランスを崩すおそれ、 生殖機能の異常、 大腸がんや肺がんの促進(ラットの実験)、 乳がんのリスク増加などの危険情報もあります。

☆ 総合的な判断(食べ方)

大豆イソフラボンは現在、有効性と有害性を併せ持つことが示唆されていますが、何れの報告も厳密な意味での科学的評価はされていません。食品としての安全性から言えば、疑わしさが残る場合は制限すること(予防原則に基づく考え)が健康被害を防ぐ道だと思います。報告書では、通常の食事で摂取される大豆イソフラボン量に上乗せできるサプリメントなどからの摂取量の上限を30mg(アグリコン)とし、妊婦や乳幼児ではサプリメントなどでの追加摂取は避けるようにとしています。現在、さまざまな食品にイソフラボンが添加されています。知らない間に過剰摂取となる危険性がありますので表示に注意しましょう。

イソフラボンは大豆の一成分です。大豆には他にたんぱく質や脂肪、ビタミン、カルシウムなど良い栄養素が含まれており、日本の伝統的な食品です。 通常の食事の中で大豆および大豆製品をとることには何の問題もないことは言うまでもありません。