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第79回 安全・安心と情報 (7)・・暗示的表現の罪

2011年11月01日

 薬の効果を調べるときに、プラセボ(擬薬)を使った試験が行われます。効果が期待される薬物を全く含まないプラセボでも30%程度は効果が出るとされています。これは一般に暗示や思い込みで起こるとされていますが、自然治癒も含まれと考えられています。なぜプラセボ効果が現れるかもまだ解明されていないそうです。

 医薬品の場合は、このプラセボ効果を差し引いた「真の効果」が認められたものが世に出るわけですが、実は、医薬品自体の効果にもプラセボ効果が大いに役立つことがあります。信頼できる名医から手渡された「おくすり」はよく効くという話はしばしば耳にすることです。

 健康食品の場合はどうでしょうか。「鰯の頭も信心から」ということわざもありますから、効果が証明されたものでなくても、人によっては効くかもしれませんね。「毒にも薬にもならないもの」を信ずることで、よい結果が得られればラッキーといえるでしょう。問題なのは、そのよい結果を体験談などとして周囲に広めてしまい、結果として人を惑わせてしまうことです(暗示的効果)。時として、悪徳商法を助長することにもつながります。

 薬事法では、暗示的な食品の広告・表示を禁じています。しかし、現実には、健康食品の広告・表示は「巧みな暗示」に満ちたものとなっています。最近の新聞広告から拾ってみましょう。

1 : 大手の製薬・食品メーカーのブランド力が効果や安全性を暗示させる
 大正製薬 : ワシのマーク、 小林製薬 : 薬剤師が相談に当たる、 味の素 : 安心して続けられるなど。
 決してグルコサミンやグリシンが効くとは書いてない。

2 : ○○賞受賞
▼ モンドセレクション金賞受賞
  多くの健康食品に見られる表示だが、金賞であっても「効果」とは関係がない。効果を保証する「賞」はない。
▼ 楽天市場ダブル賞
  ヒアルロン酸売り上げNo.1であっても、ヒアルロン酸の「効果」を保証するものではない。

3 : 暗示的な言葉
● 座る・立つ・歩く : グルコサミンが「膝の痛みに効く」と思わせる。
● しっかり休めない方、気がつけばもう朝 : ぐっすり眠れることを想像させる。

4 : 体験談 (有名人のコメント)
 個人の体験談は、たとえ本当であっても、その食品の「効果」を保証するものではない。

 大メーカーの新聞紙上の大広告は、とくに罪深いようです。