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第8回「効きそうな食品」のかしこい利用(4)食品でも副作用?

2005年12月06日

副作用・・・よく聞く言葉ですね。副作用に対して「主作用」という言葉があります。たとえば、かぜ薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン薬は「はなみず」などに有効(主作用)ですが、副作用として「ねむけ」「口の渇き」などが現れることがあります。このように、期待する(望ましい)作用に対して期待しない(害になる)作用のことを言い、一般的には「医薬品」について用いられますが、「効きそうな食品」にも副作用の可能性があります。つまり、「効きそうな食品」とは何らかの作用を持つ成分を含むものと考えられるからです。

NO.5(2005/8/1)から取りあげている「いわゆる健康食品の問題点」の4点目は、「アレルギーや副作用の情報がほとんど提供されていない」ことです。実は、効果や副作用というのは作用をもつ物質の量に関係します。薬の場合には治療という目的がありますから、少々の副作用がでても効果がはっきり得られる量を用いますが、食品では害(副作用)がでてはいけません。通常の食材として食べ継がれてきたものは、栄養素やおいしさを満たし、健康障害を起こさないものでした。しかし、前回も書いたように現在の「効きそうな食品」は、加工・濃縮型が大半です。通常の摂取量の何倍もの量を取ることになります。このことが思わぬ副作用をひきおこすことになるのです。

副作用でもっとも多いのが肝臓障害。ハーブなどのサプリメントによる重篤な肝障害の報告が多数あります。ウコンについて考えてみましょう。

「肝臓によいウコン」で肝臓病が悪化して死亡・・ という新聞報道(2004/10)を覚えているでしょうか? 「えっ・・・?」と驚いた方もいたかと思います。

ウコンは、カレー粉の主成分として、黄色色素・香料として日常的に使われており、生薬製剤の成分として医薬品にも使われています。古くから消化を助け、腎臓や肝臓の働きを助ける民間薬としても使われてきましたが、近年、巷では「肝臓いい」「酒を飲む人にいい」とされ、多量の摂取が見られるようになっています。このような状況の中、健康被害・死亡例が報告されました。もともと肝臓に障害があった人がウコンの摂取により症状が悪化して死亡したということです。他にも例があり、原因ははっきりしていませんが、もともとウコンには有害な成分も含まれており、少量であれば健康な肝臓で無毒化されるものが、弱った肝臓では大量の有害成分が処理しきれず、肝臓の細胞が障害されたと考えられています。効果についてはさまざまな研究や報告がありますが、ヒトが食べて有効であるという、科学的に信頼される報告はまだないそうです。

カレーライス大好き人間が肝臓を悪くしたという報告もないそうですので念のため。「肝臓に自信のない場合はあまり多量のウコンは取らない」ということを肝に銘じた方がよさそうです。商品にこの種の情報はほとんどありません。