第10回 薬の効き方が変わる〜相互作用のはなし〜
2006年02月01日
〈薬との飲み合わせ〉 前回「抗血液凝固薬ワーファリンとなっとう」の話しをしました。納豆のようなからだによい食べ物でも、食べてはいけない人がいると書きました。これはどういうことでしょうか。口に入れるモノ(食物や薬)は、普通はそれぞれが直接からだに効果や害を及ぼしますが、他のものと飲み合わせたときに違った効果や害が現れることがあります。このことをお互いに作用を及ぼし合う、つまり相互作用があるといいます。相互作用の多くは二種類以上の薬を併用している場合におこりますが、薬と食物との間にもみられます。具体的な例についてお話ししましょう。
【薬と薬の相互作用】
Oさんは、アレルギー性の皮膚炎のため皮膚科の医師から処方せんをもらい、かかりつけの薬局からかゆみ止めの薬を受けとって飲んでいました。春先に花粉症のような症状がでて耳鼻科医院に行ったら鼻炎の薬がだされ、両方を一緒に飲み始めました。飲んで30分ぐらい経つとどうしようもないくらい眠くなり、起きていられなくなるるとのことです。Oさんはかかりつけ薬局の薬剤師に問い合わせて、飲み合わせると眠気が強まることを知りました。これは、薬剤名も使う目的も異なっていますが、同じ種類の薬なので「副作用である眠気」が強まった例(相互作用)です。
相互作用にはつぎのようなケースがあります。
◆併用薬の作用を強める ◆併用薬の副作用を強める ◆併用薬の作用を弱める
【薬と食物の相互作用】
Sさんは夫とともに長い船旅をしました。朝食バイキングのグレープフルーツジュースが気に入って毎朝飲み続けたそうです。実はSさんは高血圧症で、コニールという血圧の薬(カルシウム拮抗薬)を飲んでいました。まもなくSさんは体がフワフワしてまるで雲の上を歩いているような感じになったそうです。船酔いかと思っていましたが、薬をもらうときにグレープフルーツのことを言われたような気がしたので、帰国してから説明書を見たら「グレープフルーツジュースと一緒に飲まないように」との注意が書いてあった。これは、グレープフルーツジュース(果肉部も)に含まれる成分が、カルシウム拮抗薬の効果を強めるために、血圧が下がり過ぎたと思われる例です。
薬と食物の相互作用にも次のようなケースがあります
◆飲んでいる薬の作用を強める ◆飲んでいる薬の副作用を強める ◆飲んでいる薬の作用を弱める
具体的な薬剤名や食品名は挙げませんが、薬を飲んでいる方は必ず自分の飲んでいる薬について、併用してはいけない薬や食品は何かを薬剤師に調べてもらうことをお勧めします。