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第76回 安全・安心と情報 (4)・・室内空気は大丈夫?

2011年08月01日

 6月からの異常高温のせいでしょうか、今年はいわゆる衛生害虫の出没が早かったようです。ホームセンターや大型スーパーなどでは、昔ながらのハエ取りリボンやハエ叩きなどが異常な売れ行きだそうです。

 一般に、ハエや蚊、ゴキブリといった「衛生害虫」退治用には殺虫剤ということになりますが、「虫」に関係するものにはいろいろな種類があります。殺虫剤、防虫剤、虫除け、虫さされ薬など。虫さされ用の薬は別として、他のものは「いかにして虫を効率よく殺滅するか、撃退するか」が競われています。虫ばかりが狙われますが、実は人間も狙われていることをつい忘れがちです。

 市販の「虫関連商品」の成分のほとんどが農薬です。メーカーは「効果抜群、人畜無害」のように謳っていますが、利用の仕方には注意が必要でしょう。

 室内用の殺虫・防虫剤には、スプレータイプ、蒸散タイプ、昇華タイプなどがありますが、いずれも室内に薬剤成分が充満しますので、人間が吸わないわけにはいきません。商品の中身を知り、必要性と危険性を考え合わせてじょうずに使うことが肝要です。主な成分について見ていきましょう。

◆ジクロルボス
有機リン系農薬。樹脂蒸散製剤バポナなどに使用。即効性がある。
急性毒性が強い:吐き気・おう吐・胃けいれん、下痢等。
長期被曝:頭痛、記憶と集中力の障害、眠気や不眠症、倦怠感等。
中国餃子事件の原因物質の一つ。
注意:居室(客室、事務室、教室、病室を含む)で使用しないこと(第1類医薬品バポナ)。

◆ピレスロイド
合成ピレスロイド系農薬。
使用:バルサンなどのくん煙剤。キンチョールなどのスプレー剤。べープマットなどの蒸散剤。ミセスロイドなどの防虫剤。蚊取り線香。スミスリンなどのシラミ駆除剤。
毒性:ほ乳類への毒性は低いとされるが、中毒例の報告は多い。神経系(とくに胚と胎児・幼児)への影響、免疫系への影響、内分泌系への影響(環境ホルモン作用)が報告されている。

◆ディート
昆虫忌避剤(虫除け)として使用。
毒性:安全とされるが、重度の神経障害や皮膚炎などが知られている。海外ではこどもへの使用を厳しく制限している。

◆パラジクロルベンゼン
有機塩素系殺虫剤 。家庭用防虫剤の主流。
毒性は低いとされるが、神経細胞を興奮させ、正常な働きを妨げる。 アレルギーを悪化させ、化学物質過敏症の原因物質となる。皮膚炎、頭痛、はき気、下痢、チアノーゼ、肝臓・腎臓障害。日本での室内濃度は基準値を遙かに超えるという調査がある。

以上の他に、室内ではファブリーズなどの消臭剤、芳香剤、除菌スプレーなどが多用される傾向にあります。インフルエンザ騒ぎで、室内の細菌やウイルスを死滅させると謳った商品(雑貨品)には効果や安全性に問題があるとされたものもあります。

 何やら息苦しくなって来ましたが、心当たりはないでしょうか?本当に必要なものを最小限使用するのが賢明なようです。