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第71回 健康食品情報を読み解く(6)・・健康食品情報と想像力

2011年03月01日

最近のテレビや新聞の広告はすごいですね。あれでは効く薬だと思ってしまう人がいても不思議ではありません。何の疑いも持たずに買う人もいれば、あのようなコマーシャルがどうして、何の規制も受けないのかと思う人もいるでしょう。

健康食品は、もともと自己矛盾を抱えた商品です。(1)ヒトが食べたときの効果が科学的に検証されていないので「効く」とはいえない(謳えば薬事法違反)。(2)効くと思わせなければ買ってもらえない。しかし、健康食品は沢山売れているわけですから、(1)と(2)の間を埋めるために、メーカーは巧みな仕掛けをしているということになります。

世の中に、「KY」というキーワードがあるそうですね。「空気が読めない」として軽蔑されるようです。しかし、健康食品情報については、あまり周囲の雰囲気を読まない方がいいようです。想像力を働かせて、チラシなどに書いてないことまで読み取ってしまうと、すっかり「いいことずくめ」の虜になります。

たとえば、「ブルーベリー(ビルベリー)」についてみましょう。

有名メーカーのインターネット上のホームページ。何ページにもわたる華やかなPR画面を見ていくと、商品には、「ブルーベリー★★」という商品名とメーカー名と「北欧産野生種ビルベリー100%使用」「ナノビルベリーエキス配合」以外には書いてありません。そして、膨大なPR画面から読み取れた「事実」は、(1)北欧産野生種ビルベリーが原料であること (2)アントシアニンが一般栽培種ブルーベリーより多く含まれること。(3)ビルベリーエキスを超微細化(ナノビルベリーエキス)したこと。以上3点だけでした。アントシアニンが何に効くのか、どの様にからだに良いのかについてはもちろん書かれてはいません。随所にちりばめられているキャッチフレーズは、以下のようです。

高品質のアントシアニンを目指して学術機関や大学との共同研究
ナノ化に大成功!吸収が良くなる
新成分「ナノビルベリー」が入ってパワーアップ!
モンドセレクション 国際優秀品質賞受賞、最高金賞受賞
北欧ラップランド地方の森、湖、白夜が育むアントシアニン豊富なビルベリーを使用
そして沢山の写真入りの「驚きと、喜びの声々」・・具体的にどこがどう良くなったと言う話しはなく、ただ良かったというもの。

これらはビルベリーの効果とは関係のない事柄ですが、想像力がはたらいてそれぞれがすべて「健康に良い情報」としてインプットされていきます。一般的に巷で流布している「ブルーベリーは目によい」以上の効果を予想させるような情報に変化しているわけです。一例としてブルーベリーを取り上げましたが、特にブルーベリーが問題ということではありません。情報の読み方として参考にしていただきたいと思います。