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第9回「効きそうな食品」のかしこい利用(5)自分のこととして考える

2006年01月05日

今年も健康で・・・お正月は、年賀状などでお互いの健康を確かめ合い、よい年であるように願います。正月料理をいただきながら、健康と食品のことを見直してみるのもよいかもしれません。そこで、「効きそうな食品の問題点」の締めくくりとして、病気や服用薬との関係をみていきましょう。

前回副作用」のところで触れましたが、健康障害は、多量摂取によるところが大きいと言えます。さらに、アレルギーや病気の有無、飲んでいる薬の種類など個人のもつさまざまな要素が関係しています。つまり、効き方も副作用の出方も個人差が大きいということですから、自分にとってどうなのかを考えることが大事です。

【アレルギー誘発】アレルギーは、外部から体の中に侵入してくるものを排除するための免疫の仕組みが過剰に働いてしまうもので、原因となる特定の成分と個体の問題です。原因が食物成分による場合は、食物アレルギーと呼ばれますが、実は「効きそうな食品」素材の中には、プロポリス、サイリウム、イチョウ葉エキスなどアレルギー誘発物質がたくさんあります。一般的な健康食品素材のうち半数以上にアレルギーの報告があると言われています。アレルギー反応は少量でも起こりますし、何で起こるか、誰に起こるか分からないのです。具体的なアレルギー注意表示がなされている商品は少ないので、アレルギー体質の人は慎重に利用すべきですし、自分に良かったからといって、むやみに周囲の人にすすめるのは危険なことです。

【病状の悪化】さまざまな素材が用いられている「健康食品」には「巷の情報」というものがあり、ヒトでの効果が明らかでないものが「全てのヒトに効くもの」として伝達されるために、うっかり摂るともとの病気が悪化することがあります。前回取り上げた「肝臓によいとされる」ウコンで肝臓病が悪化して死亡した例や、「関節痛に効くと人気のグルコサミン、コンドロイチン」の摂取により、ぜんそくが悪化した例も報告されています。ブームとなった「にがり」では、腎臓病や高血圧が悪化する恐れがあります。

【薬との飲み合わせ】高齢者が増えている現在では、なんらかの薬を使いながら健康を維持している人が大勢います。したがって、薬と薬・薬と食品の飲みあわせ(相互作用)に注意が必要になります。もし食べ物などに薬の効き方に影響を与えるものがあれば、病状が安定しなかったり、場合によっては命に関わることも起こります。

たとえば、脳や心臓の手術の後などに抗血液凝固薬ワーファリンを飲んでいる人は、なっとう・クロレラ・青汁など(ビタミンKを多量に含むもの)は食べないように注意されている筈です。ビタミンKの血液凝固作用がワーファリンの効果を弱めてしまい、血栓ができやすくなるからです。納豆や青汁はからだによい食べ物ですが、食べてはいけない人がいるのです。

薬と薬・薬と食品の飲みあわせに注意が必要なものはたくさんあります。次回はここのところを少し詳しくお話しします。