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第80回 安全・安心と情報 (8)・・不安全の情報・・茶のしずくの不幸

2011年12月01日

今年ほど「安心・安全」と向き合った年は、近年なかったのではないでしょうか?

 まず、突然の地震と津波で安心・安全が脅かされ、放射能の危険が追い打ちをかけました。つい最近になって、悠香が発売した「茶のしずく石けん」によるアレルギー問題も報じられました。これらの不幸な経験から、私たちは安心・安全な生活は、様々な条件がうまく作用し合って成り立っていることに気づいたと思います。つまり、不幸な被害は、不可抗力もありますが、それに関わる人の資質や意識、そして努力の如何によっても左右されるということです。

 これまで、安心・安全の情報をどのように得るかについて考えてきましたが、このことは、不安全・危険情報をいかにキャッチするかということにもなります。このシリーズの最後に「不安全(危険)情報の伝達」について考えてみましょう。

 「・・・れば、たら」という言葉があります。イメージとしては「そんなこと今更いっても・・・」という消極的な意味合いに使われることが多いようですが、この「れば、たら」の中から次なる有効な対策を見いだすことも重要ではないかと思います。

 加水分解コムギ(グルパール19S)を含む「茶のしずく」で被害にあった方は、

* あの石けんがなかったら・・・
* マスコミ、口コミで効果を宣伝しなければ・・・
* 小麦タンパク分解物が入っていなければ・・・
* 被害があったと教えてくれる人がいたら・・・
* 被害報告を役所がまともに取り上げていれば・・・
* 早く回収指示が出されていれば・・・

 などと思われたのではないでしょうか?

 安心・安全は生活を送るためには、個人の注意も欠かせませんが、厚生労働省や消費者庁などの行政機関の危機意識や迅速対応が重要となります。どのような問題点があったのか、行政発表や報道発表からひろってみると・・・。

【厚生労働省】
 2010年10月消費者庁等に「小麦加水分解物を含有する化粧品等」による、運動誘発性のアレルギーなどの副作用についてに通知。原因となる製品名、製造者名は示さず。悠香は原因物質を含まない製品を販売後も、既に販売した製品の回収は行わず。11年5月自主回収。既にテレビコマーシャル等によって盛んに宣伝。全国各地に約4650万個販売されていた。

【消費者庁】
 2010年10月15日に厚生労働省から被害事例の報告受理。通知に製品名や企業名などがなかったため、消費者庁は消費者安全法に基づく事故情報として扱わず、公表もせず。注意喚起を行ったのは、11年6月だった。

 被害者数は当初の報告では、アレルギー発症者が471人、うち66人は重篤な症例とされたが、日本アレルギー学会には1000件を超す症例が報告。各地の消費生活センターにも、健康被害の相談が936件寄せられているとの報道があり、被害が依然として拡大している状況にある。あらためて、「不安全(危険)情報伝達の重要性」を考えさせられます。