上手にセルフケアメディケーション

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9.上手にセルフメディケーション「話題の食品を追って�5い砲覆訃霾鵤押�

2016年09月05日

新聞やテレビなどの「公告の落とし穴」にはまらないためのポイントを前2号にわたって
書きましたが、その中でとくに騙されやすいのが「科学的事実のすり替えや隠蔽」です。
今月の気になる情報として「ナットウキナーゼ」について考えてみます。
まず、「日本ナットウキナーゼ協会」という団体の見開き2ページの新聞広告の見出しに
注目してみましょう。
冬バージョン:「ドロドロ血の方、要注意!冬の脳梗塞・心筋梗塞。
ナットウキナーゼで血栓を作らないからだに」
夏バージョン:「脱水⇒ドロドロ血⇒脳梗塞!?夏こそ血栓予防習慣を」

どちらも有名俳優と大学教授の対談形式で、ドロドロ血の解消と血栓症予防に対する
ナットウキナーゼの効果を強調しています。一見,なるほどと納得しそうな内容ですが、
科学的な事実や用語のすり替え、間違った使い方などが多く不確実は情報が発信
されています。文中のキーワードを確かめておきましょう。

[ドロドロ血(血液ドロドロ)] 対語として「血液サラサラ」もよく使われます。どちらも
医学用語ではありませんがイメージとして分かりやすいので巷に広がっています。
ドロドロ血とは血液の粘度(粘っこさ)が高まった状態のことと考えられ、赤血球数の
増加、血漿中のタンパク質濃度の上昇、血液中の水分量の減少などにより高くなります。
[血栓(血栓症)] 「血液が固まりやすくなっている、血液の流れが滞りがちである、
血管内皮が損傷を受ける」などにより血管内に血のかたまりができる(血栓)。
血栓は血小板とフィブリンの塊です。血栓が肺、脳、心臓の動脈に詰まると肺塞栓症、
脳梗塞、心筋梗塞などの血栓症を起こします。

[血液凝固作用] ケガや手術で血が止まらなければ命にかかわるし、血栓ができて
梗塞を起こしても命にかかわります。ですから、健康人の血液では凝固と溶解の
バランスが保たれています。血液の凝固因子(凝固に関わる10種類以上の糖タンパク質)
の生成の多くに関わっているのがビタミンKです。納豆にはビタミンKが多く含まれています。

[凝固した血液を溶解する線溶系] 血管内に血栓が出来るとそれを溶かそうとする
しくみが働き、プラスミンというタンパク分解酵素が凝固したフィブリンを分解します。
試験管内の実験ではナットウキナーゼにもフィブリンを分解する作用があることが
分かっています。

[納豆とビタミンKとナットウキナーゼ] ビタミンKとナットウキナーゼは納豆に含まれる
成分です。ビタミンKは小腸から吸収され血液に入って肝臓で凝固因子の生成に
かかわります。
一方ナットウキナーゼはタンパク質なのでそのままでは吸収されず腸内で分解されて
アミノ酸として吸収されます。吸収後に再びナットウキナーゼに戻ることはありません。
ナットウキナーゼの生体内での血栓溶解作用は証明されていないのです(血液中に
ナットウキナーゼが確認されたという記録はない)。

[納豆は食べない方が良いか?] 健康な人がナットウを多く食べても血液ドロドロには
なりません。
しかし、血液凝固を起こしやすい人では納豆を多く食べると血栓ができやすくなります。
血液凝固抑制薬(ワーファリン)飲んでいるヒトが納豆を食べると薬の効果を減少させ
血栓ができやすくなります。

[ナットウキナーゼで血栓を防ぐ?] もう答えは出ています。体外(試験管内)での試験で
どんなに血栓を溶かしたり予防したりする効果があっても、酵素ナットウキナーゼがそのまま
血液に入ることはないのですから。

[事実のすり替えと隠蔽] 広告では試験管内試験の効果を生体内での効果にすり替え
ている。また、酵素ナットウキナーゼがそのままで吸収されて血液に入ることはできない
ことを隠しています。