14.上手にセルフメディケーション「健康食品とのつき合い」
2017年02月05日
食品は嗜好的に摂られることもありますが、多くは健康を維持するために必要なもの
として摂られます。健康の維持には身体を作る「栄養成分」と身体の状態をより良く
維持していくための「機能性成分」が必要で、それらを食物として外部から取り入れ
なければなりません。
さて健康食品ですが、食品とはいっても健康を維持する食べ物(食材)でもなく、
病気を治す医薬品でもないので、「体の機能性を高めるかもしれない」として期待
されるものということでしょうか。国では現在このような食品を「保健機能食品」と
その他の「いわゆる健康食品」とに分けています。
では「保健機能食品」とはどのようなものでしょうか?
生体の生理機能を調整する働きをもつ、つまり健康を維持するために器官や臓器、
神経、ホルモン分泌、免疫力などの働きに影響を与える食品ということになります。
健康食品は加工品です。健康食品の出現以前には必要な機能性成分はすべて
食事として摂られていた筈です。現代では、食事だけでは足りないのでしょうか?
この視点から考えれば健康食品は健康維持に必要なモノか否か、どのように
摂ったら良いのかという原点に戻ることができるのではないかと思います。
1990年頃から食品の機能性が注目され、2016年には健康食品の市場規模は
7,500億円をも越えると予想され、高齢者の半数以上が何らかの健康食品を摂って
いるという調査結果もあります。この様な健康食品摂取が国民の健康度アップに
役立っているというデータはまだないようですが、市場経済には大きく貢献している
ことは間違いありません。奇しくも巷では次のような会話がささやかれています。
患者「先生、この健康食品は効きますか?」医師「ええ、懐によく効きますよ」
これまで、さまざまな食品について、さまざまな角度からみてきました。
取り上げた食品は「いわゆる健康食品」、特定保健用食品、機能性表示食品などですが、
内容的にはその商品の「売り」となっている素材の成分についての効果の信憑性や
表示方法の違法性などの情報でした。食品の選択をするときの判断材料になればという
思いで書いてきましたが、商品の実態と情報として表示される宣伝文句がかけ離れている
モノが多く選択がしにくくなってきたように思えます。
素材(原材料)に関する信頼性の高い科学論文情報(国立健康栄養研究所「素材情報データ
ベース」など)ではまだ認められていないような機能性を謳う商品が圧倒的に多いのです。
たとえば、「肌の水分保持に役立ち、潤いを保つ」と謳うヒアルロン酸商品。
「膝関節の柔軟性、可動性をサポート」と謳うコラーゲン商品。
「骨の健康に役立つ」と謳うβ−クリプトキサンチン商品(みかん商品)。
「目の疲労感、目の乾き、ピント調節機能の低下を緩和する」と謳う
ビルベリー由来アントシアニン商品。
「お腹の脂肪(内臓脂肪)・体脂肪を減らす」と謳う「グラブリジン含有甘草抽出物」を
関与成分とする商品などなど多数。
なぜこのようなことが起きているかと言えば、科学的信頼性の低い報告などを根拠と
するものも機能性表示食品として受け付けられているからです。
このような商品でも広告では決して「確かではないが効果があるかもしれない・・」など
とは表示せず「○○を下げる、減らす、高める」などと強調しています。
さてどのように選択しましょうか。
