上手にセルフケアメディケーション

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知って得する「食と薬の話」
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5.上手にセルフメディケーション「新しい食品制度と健康�ァ�

 事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できることになった
食品(機能性表示食品)は、3月31日現在で308製品となりました。そのうち機能性の
関与成分として最も多いのが「難消化性デキストリン」ですが、この成分はすでにトクホ
の成分として認められているので安全性の問題は一応クリアされていると考えられます。
では有効性(機能性)についてはどうでしょうか?次の例で見てみましょう。
 
届出番号:A2
<商品名>食事の生茶 
<事業者>キリンビバレッジ株式会社
<機能性関与成分>難消化性デキストリン 
<届出表示>本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。
難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させ
るとともに、糖の吸収をおだやかにするため、食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇
をおだやかにすることが報告されています。

この表示では、難消化性デキストリンが、食べた脂肪を吸収されにくくして糞便中への
排出量を増やすという報告があるといっていますが、どの程度排出させるかは分かりません。
他のメーカーも同様で、中にはもっとぼかして「難消化性デキストリンには食事の脂肪や
糖分の吸収を抑える機能があることが報告されています」と記載しているものもあります。

機能性表示食品はその表示する機能性について根拠を示さなければなりません。
各商品の届け出情報を追っていくと「一つの根拠」に行き着きます。ほとんどの
メーカーが引用している「報告」のようです。
それによれば、難消化性デキストリンを一日摂取目安量の3倍ほどを取ったときでも
摂取した脂質量の10%程度しか排出されないようです。つまり、90%は吸収されてしまう
ということです。もともと脂質の吸収率は95%とされていますから、一日摂取目安量
(5g程度)ではほとんど効果はないに等しいでしょう。

しかし、商品パッケージにはいずれも『脂肪の吸収を抑える』『糖の吸収をおだやかに
する』と書いてあるので、食べた脂肪や糖分は吸収されないという過大な期待をさせて
しまう恐れがあります。
巷では難消化性デキストリンはダイエット食品ととらえられているようで、ネット上の
書き込みに「痩せる薬は本当にあった!?難消化性デキストリンの5つの効果に驚愕」と
あって、まさに驚愕させられました。すっかり「やせ薬」になっているのです。
こうなると、摂取量の目安などお構いなしに沢山食べてしまう可能性があります(1日5gでは
効果なし)。難消化性デキストリンそのものには害はなくても、非常に消化されにくいものを
大量に食べればどうなるか、下痢や便秘が起こることが知られています。最近は多くの
飲食物に入っていますから、知らぬ間に摂り過ぎている可能性があります。

大量摂取など異常な使用方法による健康障害は論外ですが、メーカーが確実性の低い
根拠をもとにその効果を強調することは消費者の判断を誤らせます。
機能性や効果について『脂肪の吸収を抑える』のように断定的に言い切れるためには
医薬品並みの検証が必要なわけで、食品には所詮そのようなものはないでしょう。

ちなみに、機能性表示食品より根拠がしっかりしていて消費者庁の審査・許可がある
「特定保健用食品(トクホ)」でさえ外箱に表示できるのは「中性脂肪が高めの方に」
ですから、表示においてはトクホをも越えています。もっとも最近は両者の区別がなく
なっている傾向がありますので、「いわゆる効果」のみで選択されていることが問題です。