6.上手にセルフメディケーション「新しい食品制度と健康�Α廖�
事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できることになった食品
(機能性表示食品)は、すでに300製品を超えています。発売前からいろいろな問題点も
指摘されており、これらの食品はどのような目的で世に出され、どのような方向に進むのか、
気になるところです。まずは機能性表示食品制度創設の目的を確認しておきましょう。
消費者庁が一般向けに出しているパンフレットによると、「機能性を分かりやすく表示した
商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそうした商品の正しい情報を得て選択できる
ようにした」とのこと。ここで問題になるのが「正しい情報」です。機能性を表示することが
できる食品の表示例を見てみましょう。
<特定保健用食品(トクホ)>
・疾病リスク低減表示ができる(例:コレステロールの吸収を抑える働きがあります)
消費者庁の審査により効果が確認されているのでリスク低減効果(コレステロールの
吸収を抑える働き)を明言している。
<機能性表示食品>
・関与成分の機能性が表示できる(例:コレステロールを減らす機能があることが報告されております)
審査がないので低下する等の効果が「報告されている」など表現が弱い場合が多い。
「高い、低い、低下、上昇」などの程度を示す表現や特定の健康増強を標榜する表現はできない。
しかし実際の機能性表示食品の表示では、パッケージの裏側などに決められた表示が小さく
記されているものの、表のキャッチコピーでは「コレステロールを抑える」「脂肪を減らす」など
言い切り型のものが多く、効果が強調されています。
「科学的根拠に基づいている」といえば機能性が表示できることになった機能性表示食品は
トクホの表示をも越えて誇大な表現で宣伝されています。正しい情報といえるでしょうか?
機能性表示食品の科学的根拠のレベルは総じて低いものが多いことは前にも述べましたが、
一旦世に出てしまえば問題にされることはなく、結果的に機能性表現に自由度を与えてしまって
います。このことがトクホや栄養機能食品さらには一般の健康食品の広告にも波及し、健康増進法、
景品表示法等に違反するような表現が増えています。
報道された違反事例です。
<消費者庁勧告事例:ライオンの特定保健用食品『トマト酢生活』>
日刊新聞紙の広告に「『トマト酢生活』は、消費者庁許可の特定保健用食品です」、
「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”」などと記載した。健康増進法
第31条第1項の規定に違反するとして消費者庁から勧告を受けた(2016年3月)。
理由:あたかも同商品に血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官
から許可を受けているかのように示し、薬物治療によることなく、同商品を摂取するだけで
高血圧を改善する効果を得られるかのように表示し一般消費者の誤認を引き起こす
広告表示であるとみなされた。
<消費者庁措置命令事例:えがおの栄養補助食品「えがおの黒酢」>
(株)えがおに対し、景品表示法第6条の規定に基づき、措置命令を行った(2016年3月)。
理由:「えがおの黒酢」と称する食品の痩身効果に係る表示 について、自社ウェブサイトで
景品表示法に違反する行為(合理的根拠が示されないダイエット効果を暗に示すような表現を
記載し、効果があるという間違った情報発信)をした。
このような事例は今後ますます増えてくることと思われます。食品の機能性表示の緩和は、
消費者庁の建前とは裏腹に、決して消費者の健康維持のためではなく、事業者の利益のため
になされるものであることがよりはっきりしてきました。



